食品残渣飼料化プラント
当社で最初に開発した焼酎廃液飼料化プラントは、麹菌の発酵熱だけで水分95%の焼酎廃液を飼料化する装置で、海洋投棄以下のコストで5年以上の安定した稼動実績があります。なお本装置については内外で製法特許を取得しており、現在では焼酎廃液等の蒸留残渣に留まらず茶滓、おから、コーヒー滓等の食品工場残渣、レストラン残渣、あるいは魚類、食肉処理残渣、血液などの動物系残渣に至るまで汎用的に有機系廃棄物を飼料化するシステムを確立しています。また現在乾燥処理プラントの大幅な低コスト化、水分の非常に多い廃液についての水分リサイクル方式等新しい取組も実用化の段階にきています。
(詳細につきましては、図をクリックしてください)
特徴
- 装置が非常にシンプル
単にフスマ(麦ヌカ)麹に焼酎廃液を散布して送風機で冷やすだけですから動力は送風機と攪拌機しかありません。非常にシンプルな構造になっています。だから故障も少なく設備費も割安になります。 - ランニングコストが安い
1tの焼酎廃液を乾燥するのに必要なエネルギーはわずか100Kwです。ですから海洋投棄以下の光熱費で焼酎廃液が飼料化出来るのです。 - 生産される飼料の販売先が確保されている
GEN方式で生産された飼料は大手飼料会社を経由して既に配合飼料に使用されています。従って責任を持って飼料メーカーにご紹介致します。 - 操作が簡単
装置の監視は当社がインターネットを介して行います。ユーザーは操作スイッチを押すだけなので、スタッフの常駐は不要です。
- 「GEN方式焼酎廃液飼料化システム 処理装置工程図および物質収支」
(拡大図につきましては、図をクリックしてください) - なかなかこのフロー図だけでは分かりにくいと思いますが要は麹を造る際に必要な水の代わりに焼酎廃液を使用しているだけという非常にシンプルな装置です。麹を造るには原料の水分を36%に調整する必要があります。通常は水を使って水分を36%に調整するのですがGEN方式では水分95%の焼酎廃液を水の代わりに使用して麹を造るのです。通常の麹造りと違うのは最終水分を15%にまで乾燥させること、繰り返し、繰り返し、焼酎廃液を足して麹の発育を継続させつづけることです。まあこの辺が非常に難しい点ですがGEN方式ではこの難しい操作をインターネットを使用して当社が直接管理することでユーザー側の操作の簡略化に成功しました。
稼動例
- 鹿児島県 錦灘酒造向け自社プラント 日量3トン処理 平成13年より稼動
- 宮崎県 K本店向け1号機 日量10トン処理 平成14年より稼動
- 福岡県 F酒造向け 日量4トン処理 平成15年より稼動
- 宮崎県 M酒造向け 日量10トン処理 平成15年より稼動
- 熊本県 N精麦向け 日量40トン処理 平成16年より稼動
- 宮崎県 K本店向け2号機 日量10トン処理 平成17年より稼動
- 鹿児島県 S飼料向け 日量30トン処理 平成17年より稼動
- 長崎県 I酒造組合向け 日量40トン処理 平成18年より稼動
- 宮崎県 A酒造向け 日量20トン処理 平成19年より稼動
- 鹿児島県 M農協グループ向け 日量75トン処理 平成19年より稼動
- (A酒造プラント外観)

Q&A
- 飼料の販売について
製造した飼料は機能性飼料として大手飼料会社に販売しています。現在はトン当たり3万円程度が相場ですが、機能評価が高まるにつれ販売価格は上向くものと期待しています。 - 排水蒸気について
排水蒸気のBODは30ppmです。通常の加熱蒸発と異なり45度という低温で水分が蒸発するので有機成分が殆ど蒸発しないからだろうと推察されます。現在の排水基準ですらBOD30ppm以下ですから殆ど問題になることはないと考えています。 - 騒音について
装置から10メートル程度離れた場所で54dBです。殆どが送風機から出る音です。 - 排水について
排水は出ません。水分は全て蒸発します。従って排水処理施設は必要ありません。 - 臭いについて
麹発酵特有の臭いが多少するため消臭装置を付けています。住宅地に隣接するサイト等では設置した消臭装置の運転調整を行うことで消臭効果を高めています。 - 固液分離について
GENシステムでは固液分離は必要ありません。焼酎廃液をそのまま散布するだけです。 - フスマ投入量について
焼酎廃液1トンあたり50キロ〜150キロのフスマを使用します。
他の残渣は、水分によって数量が異なります。
開発秘話−山元正博記
−GEN式焼酎廃液焼酎廃液飼料化装置が誕生するまで
- はじめに
私が最初に焼酎廃液の処理に関心を持ったのは昭和五十二年、私がまだ河内源一郎商店に入社したばかりの頃でした。この年それまで乳牛用の飼料として秋口は飼料会社の飼料が全く売れなくなるほど畜産業界に飼料として普及していた焼酎廃液が突如として畜産農家から駆逐されたのです。理由は焼酎粕を食べた乳牛の乳は焼酎くさいからというものでした。この時点から私の焼酎廃液処理への挑戦が始まったのです。 - メタン発酵
最初に頭に浮かんだのはメタン発酵です。焼酎廃液をフラスコに入れて密封して嫌気状態で放置する実験から開始しました。半年後には底に沈殿していた焼酎廃液の固形部分はきれいに消滅して真っ黒な液体に変化していました。しかしながらその液体はあまりに臭い。更にこの液体のBODを測定してみるとまだ8000ppmもありました。ここで判明した問題はまず処理期間が長すぎるということ。更に処理液はまだまだBODが高く再処理が必要、しかも猛烈に臭い。
そこで次にメタン発酵菌を培養してこれを焼酎廃液に加えて処理速度を速める試験をしました。これで発酵期間は20日ほどには短縮されたのですが大きな問題が二つ判明したのです。メタン発酵では最高でも全体の85%しか分解されない。だからBOD5万ppm前後の焼酎廃液をメタン発酵処理してもまだ7500ppmのBODが残渣に残っている。だから更に排水処理が必要になるのです。もっと大きな問題はアンモニアでメタン発酵は阻害されるという事実でした。焼酎酵母由来の蛋白質が分解するとアンモニアガスが発生します。このアンモニアガスでメタン発酵は阻害されるのです。
良く考えてみればメタンガスは炭素と水素から構成されています。ところが焼酎廃液には蛋白質が20%以上含まれています。この蛋白質に含まれるチッソは分解されません。要するにメタン発酵は炭水化物の多い野菜屑に最適な処理法であり蛋白質の多い焼酎廃液には全く不向きな処理法だということが判明したのです。
焼酎廃液処理が現実の問題となった現在、一部の大手の工場でメタン発酵処理が採用されていますが順調に処理されていないのは当たり前の話なのです。もう少し研究者は慎重に検討して欲しいものです。 - 加熱乾燥
次に挑戦したのが焼酎廃液を加熱乾燥して飼料にするという技術でした。もっとも熱伝導効率がいいのはてんぷら油の中に焼酎廃液を混ぜて乾燥させる方法です。このやり方だと焼酎廃液は乾燥したパラパラの飼料になります。しかしながら問題はその乾燥コストにありました。トン当たりの処理光熱費が一万円を超えてしまうのです。更にそのまま乾燥して出来た飼料は油分が多いので飼料として使える範囲が限られてしまうのです。
これも良く考えてみれば当たり前の話でした。1リットルの水分が蒸発するためには約600Kcalの熱量が必要になります。これは物理化学の法則です。従って水分95%の焼酎廃液を乾燥するには950リットルの水分を蒸発させなければなりませんつまり950×600=57万Kcalの熱量が最低限必要なのです。これに対して熱源として利用する重油は1リットルあたり9500Kcalの熱量を持ちます。しかしこの熱量で単純に乾燥に必要な重油の量は決められません。何故なら熱効率の問題があるからです。サラサラの水を加熱した場合でも熱交換効率は70%、ましてやスラリー状の焼酎廃液の熱交換効率は15%が上限です。この結果1トンの焼酎廃液を加熱乾燥するために必要な重油の量は57万Kcal÷15%÷9500Kcal=400リットルの重油が最低限必要なのです。重油1リットルを35円として計算しても35×400=14000円の光熱費がかかるのです。とても海洋投棄の処理コストにはたちうちできません。そこで私はこの処理法もあきらめました。 - GEN方式の誕生
ほとんど諦めかけていた私がふと気づいたのが本業である河内菌の発酵熱です。 我々が種麹として出荷する河内菌は常に選別して優良な河内菌だけを商品として出荷しています。優良な河内菌とは菌体による発熱が少なく酵素の生産が旺盛な菌のことです。発熱が大きいと麹菌による原料の消費が激しく焼酎の垂れが悪くなるからです。ですから現在でも河内商店では出来るだけ発熱の少ない効率的に発酵する麹菌を商品として出荷しています。
私はその逆を発想したのです。発熱の盛んな食欲旺盛な河内菌を使用すれば焼酎廃液を処理出来るのではないか。そこでこれまで廃棄していた発熱の盛んな河内菌を利用して麹を作りこれに焼酎廃液を添加してみたのです。結果はなんと一晩で見事に焼酎廃液が加熱する事なく乾燥していたのです。
私はこの技術で特許を取得しました。しかしそれからの道も平坦ではありませんでした。小さな装置での試験では安全に麹が出来ますが焼酎廃液は大量に出るので大容量の製麹装置が必要になります。ところが大容量になるほど麹の腐敗が発生するのです。この現象を食い止める技術を開発するのに2年が費やされました。更に麹菌の調子によって3トン乾く日もあれば1トンしか乾かない日もありました。麹菌のその日の調子によって製麹条件を変えなければなりません。この技術を開発するのに1年半、更にこれをコンピューターのソフトウェアに組み込むのに1年かかりました。
そして最大の課題は出来上がった飼料をどこに販売するのかという問題でした。我々は平成12年に飼料工場としての認可を取得しこの焼酎廃液から作った麹飼料の販売に取り組みました。
多くの畜産農家そして飼料会社のご協力を得て平成15年春、ようやくその素晴らしい飼料価値が認められたのです。牛の場合一頭あたり500gの本飼料を与えるだけで下痢が止まるのです。黒豚でも本飼料を給餌することで大幅に肉質が改善し糞の悪臭が激減することが明らかになりました。そして現在では焼酎廃液から生産されたGEN方式の麹飼料は明治飼料を始め多くの飼料会社が購入して下さるようになりました。 - 普及への挑戦
私はこの装置の万全を期するため平成12年に関連会社である錦灘酒造に一号機を導入し発売開始までに2年間にわたり実績を積み重ねてきました。そして平成14年から本格的な営業を開始したのです。しかし大方の反応は冷ややかでした。人間は従来技術よりも10%のコストダウンを果たしたといえば比較的簡単に信用します。しかし従来技術の十分の一にコストを削減したと言うと疑ってしまう方が先なのです。その間に地元鹿児島では既に私が焼酎廃液の処理としては不向きであると結論を出した加熱乾燥方式やメタン発酵方式が次々に採用されていきました。単に机上の実験のみで試された技術が大手企業のビッグネームにかかると業者は簡単に信じてしまいます。
そんな私の技術を最初に信用して最初に採用して下さったのが宮崎の黒木本店さまでした。黒木社長のご期待に答えるべく私は全力を尽くしました。実は廃液処理に熱心な黒木社長はその前年にあるメーカーから日量10トンの焼酎廃液乾燥装置を導入されたのですがなんと1トンも処理出来ないばかりが装置が悪臭を放ち運転停止に追い込まれていたのです。当時の黒木社長の弁「今まで額面通りに処理出来た装置はない。」、これに対して私は日量10トンの処理を保障して工事にとりかかりました。そして平成14年11月から運転開始、当社の社員による徹底したアフターフォローにより現在でも安定的に毎日10トンの焼酎廃液が海洋投棄以下のコストで安定的に乾燥しています。 - おまけ
この開発秘話は2004年2月東京のアルコールバイオマス学会で私が講演した原稿をもとに作成したものです。 今日は10月7日午前1時過ぎ。現在長崎の壱岐では2人の社員が新しく建設した壱岐酒造組合の日量40tの焼酎廃液飼料化プラントの運転開始に徹夜で立ち会っています。私も自宅からパソコンをつなぎっ放しにしてこの装置の稼働状況を見守っています。その合間にこのコラムを作成しました。
GEN方式はとてもシンプルな装置です。今日も大手のプラントメーカーが見学にこられてあまりのシンプルさに驚いておられました。しかし装置はシンプルなほどいいのです。だから、故障も少ない。
大変なのは運転技術なのです。これはそう簡単にマスター出来ない。だからすべてのプラントをこうして常時われわれが管理しています。GEN方式はインターネットの普及がなければ開発不可能だった装置です。
私のこれからの夢はこの技術を多くのメーカーに公開して世界中の生ごみを有用な飼料に変えていくことです。私は21世紀は大量生産大量販売だった20世紀の尻拭いの時代と認識しています。
